IDEA

坂口恭平『苦しい時は電話して』

苦しい時は電話して あ、別に病んでないです。 ただ、気になって手に取っただけ。 たとえば、心が病んでいるひと、自傷しようとしているひと、自殺を考えているひとにどんな支援ができるだろうか? とか、そもそもどういったことを考えているのか? とか、そ…

土井隆義『友だち地獄』

『友だち地獄』 ちょっと前に紹介した『友だち幻想』よりドロドロとした嫌なリアルが書かれている。 1.いじめを生み出す「優しい関係」 2.リストカット少女の「痛み」の系譜 3.ひきこもりとケータイ小説のあいだ 4.ケータイによる自己ナビゲーション 5.ネッ…

優越感はいらない―『おとなになるのび太たちへ』

私はのび太が嫌いだ。 馬鹿で、のろまで、どんくさくて、泣き虫で、すぐにドラえもんに頼って…… 私はのび太が嫌いだった。 私が眼鏡があまり好きではないのも、襟つきの服を着たがらないのも、実は野比のび太が嫌いだからだ。 昔から、嫌いだった。 嫌い、嫌…

現実と虚構の間を揺れ動く

最近流行りの『鬼滅の刃』『チェンソーマン』。 ああいった作品の共通点は「人vs.人ならざる者」という構図があるということだ。 (今、私がこうやって文章を書いているのは、ちょうど『ブレードランナー2049』を見終えた直後のこと。) 面白いストーリーの…

宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』

なぜ非行に走ってしまうのか? 私たちの常識では考えられない行動を起こす非行少年。 彼ら、彼女らはどうして非行に走ってしまうのか? いまや漫画化されている本書だが、遅ればせながら読ませていただいた。 で、読み終わったのでいろいろ書いていこうと思…

D・カーネギー『話し方入門』

私は話すのが苦手である。 なぜみんな滔々と言葉を話すことができるのか不思議だ。 私は誰かと会話し終えたら、こう言っておけばよかったとか、あれは言わなくてよかったな、とか一人反省会をする。なんであんなことを言ったんだろう? と後悔することがしば…

「自分とは何か」をめぐる哲学

自分とは何だろうか? ジャルジャルが好きなんで、【JARUJARUTOWER】のネタのタネから動画をもってきた。 以下の動画だ。 おじさん(後藤さん)は「高校生ぐらいのときは、私、二、三(の顔)を使いまわしていましたよ。社会人になって一つ増えました。八つ…

武田友紀『繊細さんの本』

バーナム効果という言葉がある。 星座占いとか血液型占いなどで「当たってる!」とかいったふうに思ってしまうあの現象である。そもそもそういった性格診断は誰にでも該当するようなあいまいな書かれ方がされているので、「当たってる!」と思うのは当然なの…

落合陽一『働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ』

『羅生門』を読む。 感想。 人間のエゴを感じた。 使い古された感想だ。 老婆にも正義があり、下人にも正義がある。正義はひとつではないことを知った。 これまた使い古した感想だ。 じゃあ、使い古されていない感想って何だよ。 YouTubeを始める。 メントス…

やりたいことを見つけるために

まず、初めに今回は以下の本を参照したことをここに述べる。 ビル・バーネット、デイブ・エヴァンス『スタンフォード式 人生デザイン講座』(ハヤカワ ノンフィクション文庫) 八木仁平『「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メ…

橋本陽介『使える!「国語」の考え方』

今回はあんまり真剣に考察するとかじゃなくて 軽くいろいろ述べて行こうかなと思う。 ①羅生門の授業 ②小説文の授業について生徒はどう思っているのか? ③小説を読むことの意味を問う ④ツッコミを入れる ⑤理解されやすい文章のセオリー ⑥まとめ ①羅生門の授業…

変身譚として読む『砂の女』(大学のレポートで提出したもの)

1 はじめに 安部公房は一九二四年、東京に生まれ、十六歳まで満洲の奉天で過ごす。一九四三年に東京帝国大学医学部に入学する。一九四八年に大学を卒業するも、医師にはならずに、創作活動に勤しむ。一九五一年に『壁――S・カルマ氏の犯罪』で芥川賞を受賞…

伝えたいことを伝えるために

どうやって人にわかりやすく伝えればいいのか。 私の一番の悩みどころである。 私は小さいときから話すのが下手だった。だが、その下手さから笑いを誘ったこともあり、別にこのままでもいいかと思うようになった。 だが、働き始めてから、伝達能力のなさが露…

いじめについて考える

1986年 中野富士見中学(東京)いじめ自殺事件 「いじめ」が初めて社会的にクローズアップされるようになった事件。 中二の男子生徒Aくんは、クラスメイトに下校時にバッグを持たされたり、プロレスごっこという名目で投げ飛ばされたり、ペンで顔を落書きさ…

興味関心を持つべきである

本題に入る前に少しだけ政治について。 あまりそういった話題はしたくないのだが、少しさせていただく。ただ、私は右派でも左派でもないということを念頭に置いていただきたい。右派的なところもあれば左派的なところもある、と言えばいいのか、そもそも私自…

コロナと闘う~カミュ『ペスト』を教本に

不条理文学といえば、カフカの『変身』を思い浮かべる人が多いだろう。 目が覚めると主人公のグレゴールが毒虫に変わっていたという不条理な冒頭。しかし、これは個人的な不条理である。グレゴールの家族は毒虫になってはいない。息子が毒虫になってしまった…

モラトリアム人間の苦悩

前回に引き続いて、同じ「モラトリアム」についてのお話。 大学を卒業し、モラトリアム期間を終えた俺。 終わってから気付くモラトリアム期間のすばらしさ。恋しさ。 俺が好きな小説、映画の話。 記憶に残る作品。 鮮やかな色どりを持った記憶として残ってい…

自我分裂

青年たちは、モラトリアム(猶予状態)を楽しみ、自由の精神を謳歌し、疾風怒濤や青春の彷徨をくり返しながら、実験や冒険をつづけ、やがては、最終的な進路、職業の選択、配偶者の決定をはじめ、そのすべてに自分固有の生き方=アイデンティティを獲得する…

思弁癖

「蛇がにゅうめんを飲み込む様子というものが活写されてんね。田ア耕すとき、牛がサルを抱くようにやれなんちゅうけど嘘やで、丁目が出るか半目が出るかちっとも分からん状況で、わが銭を全部、突っ込む。そんな気持ちでひと鍬、ひと鍬、精魂こめて田アにう…