池澤夏樹の『スティル・ライフ』という小説。 冒頭が美しい。 この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている…
俺は比較的恵まれた家庭で生まれ、両親は仲が良く、何かしたいと言えばさせてくれるような環境の中で育ってきた。 だから、母子家庭や貧困家庭、両親が不仲といった家庭で育った子の悩みや、家族内にケアを必要とする人がいてそのケアをしなければならないヤ…
昔はよかった、という言葉をよく聞く。 私自身、そう思っているところもある。 まず人付き合いに関して、スマホの普及から、人との距離が遠くなったように思う。 月並みな意見だけど。 SNSの普及により、ひとは承認欲求モンスターと化し、現実世界を生きてい…
ゲーム実況者のレトルトさんの動画をよく見るんだけど、主人公モデル(八神という)がキムタクのゲーム「LOST JUDGMENT」にて、ぐっときたセリフがあった。 いろんな事情があって(人間関係)バスケ部を辞めたいという女子高生。でも、彼女は逃げて辞めるこ…
なんか先入観でこの小説を図書館司書のおばさんが中学生の男の子に文学を通して人生の教訓を垂れる話だと思ってたけど、全然違ってた。 主人公は若い女性教師(常勤講師)で文学に興味がないのに文芸部の顧問をもたされて不満に思っている。文芸部にいたのは…
村上春樹『螢』という小説の中で、名前のない〈僕〉の恋人(元恋人といったほうが正確か)が言ったセリフ。 「うまくしゃべれないのよ」 「ここのところずっとそうなの。本当にうまくしゃべれないのよ。何かをしゃべろうとしても、いつも見当ちがいな言葉し…
NLPという心理療法がある。 Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラム)の略称で、別名「脳と心の取扱説明書」と呼ばれる最新の心理学であるそうだ。 「人間が苦しんだり、喜んだり、立ち直ったりする本質的なしくみ」「人間が変化し成長していく原…
これからの時代、「生きる力」が求められている。 文部科学省は「生きる力」について以下のように定義づけている。 ・基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、表現することにより、さまざまな問題に積極的に対応し、解決する力 ・…
話を聞かない人がいる。 Twitterでも話題になっていた言葉がある。 「バカでもわかるように説明に工夫したところで、そもそもバカは説明を聞いてない。」 言葉は悪いが、まさにその通りだと思う。 そうなってしまえば、言葉など無意味と化す。 実際、人類み…
10代にはさまざまな悩みがある。 精神的な疲れであったり、それが身体的な疲れであったりもする。 まずは、身体の不調について述べるが、私は医学に関する知識は皆無であり、それなのに「〇〇症」などと訳知り顔で書くという蛮行を、今回私が紹介する『10代…
Fラン大学就職チャンネル (改めて名前がよくない。内容はすごいのに、名前のせいで敬遠されている気がする) 毎度毎度心に刺さる話ばかりで驚かされる。 今回ばかりは、書かねばならぬと思い、筆を下しました。 はい。 この話、ようはインフルエンサーの言…
未成年が犯罪を犯した 未成年が悪い! 未成年は日常的に母から虐待されていた 母が悪い! 父親はあまり家に帰ることなく家事・子育てすべて母親に丸投げだった 父が悪い! 家庭環境が悪いのは近所で有名だった 近所の人が悪い! 児相が悪い! 家庭環境が悪い…
平野啓一郎氏の提唱した分人主義について語っていきたいと思う。 実はどこの出版社だったか忘れたが、この分人主義について取り上げていた国語の教科書もあって、世間に浸透しつつあるのかな、とか、認められつつあるのかな、とか思っている。 ①私とは? ②個…
「いい子」を演じ続けた結果、見失う生きる意味 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net) 上の記事についてまとめていきたいと思います。 まとめるだけです。 自分の意見は排していますが、…
本作は、Jゲームグラフィックデザイナー、イラストレーター、漫画家の三つの肩書を持つJamさんの著書です。 日常で怒る人間関係の悩みをかわいらしいネコちゃんを中心に描いた漫画がたちまと話題になり、それが本書『多分そいつ、今ごろパフェでも食ってるよ…
人生ハードモード。 親ガチャ。 人生周回遅れ。 などなど、よく人生は「ゲーム」にたとえられます。 たとえられるどころか、「ゲーム」を心のよりどころにして、現実世界から目をそらそうとしているひとも多くいます(それがいいか悪いかは今の時点では述べ…
なぜ働くの? この問いに対して、いろんな答え方ができるでしょう。 今回は、「なぜ働くのか?」という大きな問いをテーマに、つれづれなるままに記述していきたいと思います。主に、高校生・大学生に向けた話になると思います。 1.仕事って何? 2.自分の適…
「桃太郎」が女の子「桃子」の紙芝居 小学生ら偏見や差別を学ぶ 桃太郎が性差による偏見の解消という理由で桃子という名前に変更され、鬼退治は野蛮であることを理由に鬼と話し合いをすることで和解を求めるストーリーに変更された。 温室、純粋培養、優しい…
GIGAスクール構想というものがある。 これは「全国の児童・生徒1人に1台のコンピュータと高速ネットワークを整備する」という取り組みのことである。 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、2023年度までを目処に構想の実現を目指していたが、前倒しさ…
大学二年生ぐらいまでろくに本を読んだことがなかった。 文庫版の小説を初めて読んだのが大学二年生の夏ごろ。 たしか、『君は月夜に光り輝く』だったと思う。 一般文芸すら敷居が高いと思っていたので、ライト文芸から肩慣らし。 そっからしばらくライト文…
現代文の読み方について。 まず、読み手の主観はいったんどける。 そして筆者の意見に対してこびへつらうように読む。 なんだか嫌な感じだな、と思われるかもしれないが、実はこれ、いわゆる客観的な視線を持つためのトレーニングでもある。 言ってしまえば…
久々です。 試験とかで忙しくて更新できていませんでした。 はい、言い訳はさておき。 石田衣良『5年3組リョウタ組』 主人公は中道良太という茶髪でネックレスをつけたチャラい感じの25歳の小学校教師。聡明というわけではなく、熱い教育理念を抱いているわ…
あの『ケーキを切れない非行少年たち』の著書・宮口幸治氏が著した本。 ケーキの切れない非行少年たち 作者:宮口 幸治 新潮社 Amazon zzzxxx1248.hatenablog.com 『どうしても頑張れない人たち』 『ケーキを切れない非行少年たち』では、認知機能が弱く、感…
『僕だけがいない街』って漫画を読んだ。 ジャンルとしては、ミステリー×SF(タイムリープ系) (今はやりの『東京卍リベンジャーズ』もそうだな) けっこうおもしろかった といえば、上から目線っぽいので すなおにおもしろかった 個人的に、登場人物の信念…
聞き上手という言葉があるが、それは話を聞くのがうまい、つまり、話をしていて楽しいとか安心できるとかそういったひとのことを指すのだろう。話をしている最中に、自分の話をし始めたり、リアクションがなかったり、そういったひとは残念ながら聞き上手と…
予想は 佐藤 究『テスカトリポカ』 澤田瞳子『星落ちて、なお』 柳 広司『アンブレイカブル』 朝倉かすみ『にぎやかな落日』 呉 勝浩『おれたちの歌をうたえ』 原田マハ『リボルバー』 でしたが、 結果は、 一穂ミチさん「スモールワールズ」呉勝浩さん「お…
こんにちは、 文学賞オタなので 一丁前に直木賞候補作予想をします。 165回直木賞 (2021年上半期) 多分、7月15日くらいに発表されると思う。 早速ですが、予想候補作 佐藤 究『テスカトリポカ』 澤田瞳子『星落ちて、なお』 柳 広司『アンブレイカブル』 朝…
ルンバを見て、「やる気ある」と思うひとはいないだろう。 もし、いれば、そいつはそうとうな変わり者だな。 なぜ、ルンバを見て「やる気ある」と思わないのか。 それはルンバが電力という外部からの力を得ているからである。 人間は電力などでエネルギーを…
このブログ内で 前に書いた内容と似た話を持ってきたり、同じ主張をしてしまっていたりするかもしれない。 しかし、よく新書でも同じ著者が同じ話をしていることはある。 ということで、このブログ内でも、そんなことがたびたび起こるだろう。 無意識にやっ…
SDGsとは、未来の世界のかたちだ SDGsは「持続可能な開発目標」と訳されることが多いが、「持続可能な成長目標」としたほうがわかりやすいそうだ。 今だけ成長して未来に経済的・社会的・環境的な負債を残すのではなく、持続的に成長していく。しかも、経済…